
こんにちは!ROAD OF STYLEブログ管理人のYuukiです。
スーツやジャケットのフィッティングにおいて、肩周りは重要な補正です。
「ジャケットは肩で着る」と言うように、首から肩先にかけてフィットしてこそ、美しい見映え&軽い着心地が得られます。
既製品のジャケットはJIS規格などによってサイズが割り出され、どなたでも着られるような肩周りで作られていますよね?
但し、それではジャケットの見映えがキレイにならない事は、あなたもご存知だと思います。
そこでMTMやス・ミズーラといったオーダーを提案されているかと思います。
オーダーのご紹介をするに当たって、「体型補正の利点を伝える事」は重要です。
もちろん生地の魅力やデザインを幅広く選べる事も魅力なのですが・・・
既製品よりコストも時間もかかるのに、それでもオーダーが良いと伝える為には、体型補正がお客様にとって一番の魅力です^^
そこで今回は、お客様にも違いを感じてもらいやすい「なで肩・いかり肩」の見方と補正法をご紹介します。
やはり体験してもらわないと、体型補正の価値って伝わりにくいですからね^^;
オーダーをご紹介しているけど受注に繋がらないという方や、肩周りの見方がイマイチわからないという方は、ぜひ読んで頂けると幸いです。
目次
全体像の確認
今回は僕の実家に奇跡的に残っていた、14年前のリクルートスーツを使って解説します。
改めて着てみると明らかなオーバーサイズで「そりゃ内定もらえないよなぁ」と苦笑い。
ですが、フィッティングの練習をするにはとても良いスーツだと気が付きました(笑)

某紳士服の〇山で購入したリクルートスーツです。
オーバーサイズなのは誰でもわかるので、スーツが体型に合っているかどうか?を観察してみてください。
※参考:僕は身長173cm、体重56kgの痩せ体型、O脚持ちです。

背面の全体像です。
正面側は肩パッドや芯地が入っているので、まだキレイに見えやすいですが、背面はそうもいきません。
なで肩か?いかり肩か?見当はついてきましたか?
間違っても大丈夫ですので、正面と背面を見た上でなで肩か?いかり肩か?予想してからお進みくださいね。
ジャケットだけに絞って確認しましょう
それではもっとアップでジャケットを観察していきましょう。

リクルートスーツですが、何気にシングル3つボタン2つ掛けなんですよね~
身長180cm以上の背が高い人に似合いやすい形です。
クラシックな形ですけど、Vゾーンが狭くなるので僕はあまり好きじゃないですね(笑)

アップで見ると、不具合がすぐ見つけられるかと思います。
オーバーサイズゆえのシワも出ていますが、サイズをフィットさせるのは肩周り等の体型補正を完了してからです。
フィッティングの順番としては「体型→幅(サイズ)→丈(長さ)」で進まないと、キレイに仕上がりません。
ここで言う体型とは、肩周りや反身体・屈伸体といった内容です。
痩せている、ガッシリしているとは違う点にご留意ください。

次は首周りのアップを観察していきましょう。
いかり肩かどうかは、首周りを観察すると判別しやすいですよ!

それでは次からなで肩か?いかり肩か?解説していきますね。
いかり肩の確認
結論から言うと、いかり肩の補正は必要ありません。
いかり肩は「着用者の肩先がジャケットの肩位置よりも高い」場合に出る不具合です。
もしくは首・肩・背中と広範囲につく「僧帽筋(そうぼうきん)がさほど発達されていない」方にも出ます(女性に多いです)
僧帽筋については次の写真をご参考に。

引用:https://s-takanaga.com/blog/trapezius-muscle/
いかり肩の場合、首の付け根周りがふわっと浮き上がるような不具合が出ます。
正面側だと襟の付け根(ネックポイント)を押してみると、浮いているかどうか判別できます。

写真の〇で囲った部分を押してみて、着用者の肩に乗っているか?を確かめましょう。

背面側だとツキジワに似たシワが入ります。
ツキジワは首が後ろに倒れている場合に出る、横向きのシワですね。但しネックポイントは浮きません。
いかり肩は「首を囲むようにシワが入り」、ネックポイントも浮いている点が違います。
ちなみに写真だと〇で囲った部分が少し盛り上がっているのですが・・・
あれはインナーのネックのリブが盛り上がってるだけで、いかり肩とは関係ありません(すいません^^;)
なで肩の確認と補正後のアフター(正面側)
いかり肩は問題なしですが、なで肩の補正は必要です。
もう一度正面の写真を見てみましょう。

打ち合いの第2ボタンの両サイドに不具合が出ています。
こういうシワが入ると、何となく貧相に見えてしまうんですよね^^;
でもお客様に体型補正の利点を伝えるチャンスですよ!
お客様に説明する際は「お客様がなで肩だから~」とは言わずに(失礼ですからね)
「お客様の肩よりジャケットの肩が高いので、ウエスト周りにシワが出てしまうんです」
と原因をお伝えしながら、どのシワのことか?お伝えして認識して頂きましょう。

ジャケットの肩が高いので、余っている分が下に落ちてしまうわけです。

そして上から押されるように、〇部分のウエスト周りにシワが出ています。
「このシワがない方が見映えがキレイになるんですけど、試してみましょうか?」
とお客様に聞いて、YESならピン打ちでビフォーアフターを確認してもらいましょう。

ジャケットの肩が合うと見映えがとてもキレイになりましたね!
ピンを打つ場所はあなたのお店のやり方や、補正の入り方によって変わるかと思いますので、あくまでもご参考程度に。
なで肩の確認と補正後のアフター(背面側)
お次は背面側の補正です。

お客様は直接確認しづらい部分ですので、写真を撮ってご案内するのが親切だと思います。
「ジャケットの肩が合っていない為、背中側にもこんなシワが出ています」
と言いながら、そのシワをなぞってご案内するのも良いですね!
スキンシップを取る方が、人間心理的にも信頼を得やすいですしね^^

背面側も両肩先が落ちており、下へ下へと流れるようなシワが出ています。
ジャケットがオーバーサイズだからではなく「肩の高さが合っていないから」です。
肩の高さが合っていないと、見映えの悪化と共に着心地の悪化にも繋がります。
ジャケットを着ると肩が凝るというのがその典型ですね!
「ジャケットが正しくフィットしていれば、首~両肩に重さが分散されて軽く感じられますよ」
と、体型補正の利点をさりげなくお伝えしましょう。

補正を入れることで背中の見映えが美しくなりました!
アフターも写真を撮ってご案内し、補正前と比べてどちらが良いか?をお伺いして、体型補正の利点が伝わっているか確認してみましょう。
試着を通してオーダーの良さを体験したお客様なら、補正後(オーダー)が良いとお答えになるハズです。
フィッティング上達の秘訣は「日々の観察と練習」
なで肩といかり肩の見方と補正法について、少し掴めましたでしょうか?
今回ご紹介した着眼点を参考に、ご自身のスーツ姿や街行く人のスーツ姿を観察してみてください。
左右どちらかにだけ不具合が出ていたり、僕みたいにしっかり不具合が出る人など、いろんな気付きが得られると思います。
中にはいかり肩・なで肩両方の不具合が出る人も・・・それはまたの機会に。
ピン打ちに関しては、お店のスタッフ同士で練習し合うのが良いと思います。
僕はオーダースーツ店ではずっと1人、百貨店に勤めていた時も3人の店舗だったこともあり、自分で練習してました。
採寸用ゲージを着て不具合を確認、一度脱いでピン打ち、もう一度着て確認・・・という手間のかかる練習です(笑)
それでもやらないよりやった方が良いですよ!練習する中で初めて気付く事もたくさんありますからね。
今回の記事が少しでもあなたのお役に立つと嬉しいです。
もし他にも知りたい事があれば、お気軽にコメント頂けると幸いです。
今日もROAD OF STYLEブログをお読み下さり、ありがとうございます^^