
こんにちは!お洋服ブロガーのゆうきです。
いつもブログを見てくださり、ありがとうございます。
普段の記事には書かない独自の視点や、個人的に良かった体験談等をシェアする「FITTER EYES:服バカの遺言」チャプター10です。
今回のテーマは「僕が一度は使ってみたい生地について」
結論から言うと、世界最高レベルの羊毛で作られた「ラムズゴールデンベール」という糸で織られたスーツ生地です。
前半はラムズゴールデンベールの解説、後半はスタイル作りの考え方を書きました。
ぜひご笑覧くださいね^^
ラムズゴールデンベールについて
ラムズゴールデンベール(LUMBS GOLDEN BALE)はオーストラリア産の最高級羊毛を使い、
英国ハダスフィールドのジョセフ・ラム社が紡いだ高品質の「糸」です。
糸のもとになる極細の原毛の採取量はごくわずか。その質は世界最高レベルと言われています。
ラムズゴールデンベール(生地)の特長

ラムズゴールデンベールで織られた生地は、通常のウールと同じ特長を持ちながら、
さらに「カシミヤのような天然のストレッチ性、ヌメリ感、しっとりとしたツヤ感」を持っています。
ラムズゴールデンベールは極細のウール原毛から作られた糸ですので、一般的なウール糸よりもヌメリ感のある生地に仕上がるんですね。
ヌメリ感(ぬめり)という表現はカシミヤで良く耳にすると思います。
これは「生地の性格を表す言葉」で、カンタンに説明すると次の通りです。
- ヌメリ感:柔らかい、滑らかな肌触り、美しいドレープが出る
- シャリ感:ハリやコシがある、カタイ触感、反発力があり仕立て映えする
ヌメリ感がある生地は「贅沢品に多い」イメージでOKかと。実用性より上質さを取ってる感じですしね。

ヌメリ感がある生地は、繊維が細い素材(例:カシミヤ)を使うか、甘撚りの糸を使う等して作る事ができます。
ソフトで軽い着心地を得やすい為、主にジャケット用の生地に多いですよ。
※例えばロロ・ピアーナのサンセット(※カシミヤシルク、重量220gmsくらい)
その反面、強い負荷には弱くなる為、スーツ用として使うのは難しくなります。
特にトラウザーズは座る時の圧力や膝抜け、小股の摩擦でダメになりやすい^^;
カシミヤ100%のスーツ生地が少ないのは耐久性によるもので、それでウールと混ぜて欠点をカバーするというワケ。
しかし混ぜるとヌメリ感がなくなるというジレンマ・・・両方の良さを併せ持つのは難しいのです。

ちょっ待てよ(;・ω・´)o!!
(言いたいだけ、笑)
じゃあスーツにも使える強さと、ヌメリ感を両立するにはどうすればいいのか?
その方法の1つが「ラムズゴールデンベールの糸を使う」という事です。
(※他にエスコリアルウール、スパンカシミヤがありますが・・・それは別の機会に)
カンタンにポイントまとめ

①ラムズゴールデンベールは世界最高レベルの原毛で作られた「糸」
②ラムズゴールデンベールで織られた生地は「スーツにも使える強さとヌメリ感を併せ持つ」
③通常のウールと同じ特長 + 天然のストレッチ性、ヌメリ感、しっとりとしたツヤ感がある
(ヌメリ感:柔らかい、滑らかな肌触り、美しいドレープが出る → 着心地が良い、贅沢品)
普段使いに耐える実用性がありながら、極上の着心地の良さも追究できる。
というところが他の生地にない魅力と言えるでしょう。
ちなみにこれほどの生地を作ろうとすると、効率より徹底した品質管理が必要です。
実際ジョセフ・ラム社がラムズゴールデンベールの使用を許している工場は、世界でたった1社のみ。
ごくわずかな採取量の原毛で糸を作り、許された工場が伝統的な工法で織りあげる。
その生地でスーツを仕立てると、肌に吸い付くような素晴らしい着心地が得られるんですね。
目を奪う装いではなく心を奪う装いを

これは僕がスーツに仕立てたいなと思っている生地です。
英国の生地商社「H.LESSER & SONS(H.レッサー&サンズ)」より
THE LUMBS GOLDEN BALEのダークネイビー×白ピンストライプ(CODE:31116)
※参考:H LESSER LUMBS GOLDEN BALE – Harrisons
まさに王道のスタイル(ROAD OF STYLE)にふさわしいクラシックな色柄。
赤みが混じっておらず、ミッドナイトブルーのような深い色合いが刺さりました。
1mあたりの重量330gmsと秋用くらいのウエイトで、仕立て映えを期待できるところもGOODです!
僕が英国のスーツが好きなのは、
「英国紳士が華美な装飾を好まず、良質なウールでしっかりと織られたベーシックな色柄を好むから」
ラムズゴールデンベールはこれに当てはまる生地の1つだと考えています。
流行に左右されず、頑なに王道と品質を守り続ける。それで130年以上に渡り評価され続けていますからね。
最高品質のウールを探す為の初めての渡航では、オーストラリアへのフライトに12日もかかったそうです。

そうした情熱や決意のようなものは、着る人に大きなチカラを与えてくれる気がします。
この生地なら「紳士はファッショナブルではなくスタイリッシュであれ」を体現できると考えています。
流行を追っていろんな着こなしをするのも良いけれど、紳士は自分のスタイルを構築すべきだ。という教えですね。
この言葉に影響を受けて、僕のスーツスタイルはクラシックをベースにするようになりました。
クラシックは「普遍的、王道」といった意味ですが、「世界共通のスタンダード」と認識するほうがわかりやすいかと。
どこへ行っても、どんな場面でも、誰が相手でも通用する・・・そんなスタイルを目指しています。
その道のりにおいて、ラムズゴールデンベールは1つの高みと捉えているんですね。
「最高の定義」は人それぞれ違うでしょうが、今の僕にとってはラムズゴールデンベールは間違いなく「最高」です。
目を奪われるものは、たいてい派手で見映えがいいもの。
心奪われるものは、わりと地味で泥臭かったり、案外身近にあるもの。
僕は目を奪うような華美な装いではなく、その見た目や所作で心を奪う紳士を目指しています。
高みを目指してこれからも精進します
久々に暑苦しい記事となってしまいました。たまにはいいですよね(笑)
僕のスタイル作りに対する考え方って、あまり発信してないよなぁと思いまして。
ふとラムズゴールデンベールの写真を見て書こうと思ったワケです。
理想を実現させる為には何度も意識する事が大切ですし、
誰かに伝える事でやるぞ!ってスイッチも入りやすいですしね。
ラムズゴールデンベール・・・目指すところは高ければ高いほどおもしろい(登山家?)
今抱えている悩みを無くす事は難しくても、それらを悩みだと感じない自分になる事はできます。
その為には自分が今いるステージを上げるしかありません。
憧れを持つ事は向上心を掻き立て、自分のステージを上げる原動力になると考えています。
以上、服バカの遺言でした。
最後までお読みくださり、ありがとうございます^^
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