
こんにちは!お洋服ブロガーのゆうきです。今回の記事は、
- トラウザーズ内側のボタンは何?
- 天狗の役割とは?
- トラウザーズの見映えを良くしたい
といった疑問・ご要望にお応えする内容となっています。
スーツのトラウザーズ(スラックス)には、
フィット感と見映えを良くする為に「天狗」というパーツが付けられています。
これはフロント内側、ファスナーのすぐ横にあります。
「外から見えない&面倒くさいからボタン留めなくていっか」なんて放置していませんよね?^^;
そこで今回は天狗について解説を書きました。
トラウザーズの前側が下がってしまう、プリーツが開いてしまう・・・といったお悩みがある人は、
「そもそも天狗のボタンを留めているか?」をご確認くださいね。
天狗の役割について

天狗とは「トラウザーズのファスナーを付ける際に土台となるパーツ」
そして腰裏に付けられた内掛けボタンに留めることで、
「フロントの前下がりを防ぐ&フィット感を高める」役割を持っています。
スーツのトラウザーズや単品スラックスによく見られる仕様です。
腰裏の内掛けボタンにもいろんな役割があります。
- フロントホックやファスナーにかかる圧力を分散させる
- ウエストが余っている場合、フロントホックが外れやすいので防止
- ブレイシーズで吊る場合も、フロントホックが外れやすいので防止
- ファスナーだけだとフロントが伸びない → 内掛けボタンに留めて引っ張る
といった具合に、地味ながら重要な役割を持っています。
天狗のボタンを留める効果
天狗のボタンを留めていない場合と、留めている場合の違いを見ていきましょう。

まずは天狗のボタンを留めていない場合。
トラウザーズのフロント(ファスナー周辺)が下がっているのがわかりませんか?
プリーツはどうでしょう?心なしか開いているように見えないでしょうか?

天狗のボタンを留めないと、ファスナーに大きな圧力がかかってしまう為、フロントが歪みやすくなります。
その結果、フロントが下方向に下がってしまうんですね(汗)
そしてプリーツもそれに連動する形で、開き気味になってしまいます。
天狗のボタンを留めればキレイに見えるのに、そのひと手間をサボるから見映えが悪化するワケです。

こちらは天狗のボタンを留めた場合。
フロントの生地がキレイに伸び、プリーツも真っ直ぐ下に流れていますね。
ちなみに写真のトラウザーズは股上29cm。
ウエスト(お腹)のくびれにフィットさせる深い股上です。
このような股上が深いトラウザーズの場合、天狗は必須と言えるでしょう。

カジュアルでも股上が深いワイドチノなどに付けておきたい仕様です。
特に内向きのフォワードプリーツ(インプリーツ)は開きやすい為、天狗のボタンを留めてフロントをしっかり伸ばしましょう。
オマケ:天狗の呼称・デザイン
ご参考に、天狗には他にも呼び名があります。
- パンチェリーナ
- バトンキャッチ
- フレンチベアラー
パンチェリーナはテーラーやイタリア系パンツブランドが使うので、耳にした人も多いのでは?
オーダーで仕立てる際、テーラーによっては天狗の形を選べます。
鼻付き天狗、カラス天狗などがあって、トラウザーズに個性を与えられますよ^^
トラウザーズを穿く時はひと手間を大事に
天狗は「フロントの前下がりを防ぐ&フィット感を高める」役割を持っています。
天狗のボタンを留めないとフロントが下がったり、プリーツが開いてしまうので、忘れずに留めるようにしましょう。
もし天狗のボタンを留められない場合は、トラウザーズのウエストが合っていない可能性があります。
次の記事を参考にウエストを調整するか?トラウザーズを新調するか?
ご確認なさってくださいね。
最後までお読みくださり、ありがとうございます^^
コメント
ご返信いただいてありがとうございます。
そして、早速アップしていただいた「ブレイシーズ入門ガイド」も拝見させていただきました!
分かっていても実現できない環境、、、ストレス以外の何物でもないですね。
メーカーさんのサロンでは崩せないハウススタイル等、いろいろ兼ね合いがあったのかもしれませんね。
「フィッターとしてのこだわりよりもお客様のニーズ」
確かにその通りですね。
私も押し売りにならず、かといって御用聞きにはならないような匙加減でお客様にご満足いただけるスーツ造りに励みたいと思いました。
ありがとうございます。
どういたしましてです^^
ブレイシーズ入門ガイドも早速見てくださり、ありがとうございます。
何か1つでもお役に立つと嬉しいです。
変えられない事を悩んでいても仕方がないので、できる事で工夫しよう。発想を変えよう。
昔の自分にはそんな風に言ってあげたいですね。
こだわりが独りよがりになっていた可能性、実際お客様から強く希望されていなかったというギャップはあったと思いますし(苦笑)
近年はビジネスウェアのカジュアル化や、リモートワークの普及が進んで、スーツの需要が減っている部分があると思います。
ですが、仕立てたスーツを着たときの気持ちの高揚、セルフイメージの変化は他にはない価値だと考えています。
陰ながら応援しておりますので、これからもスーツ作りに励んでくださいね^^
はじめまして。
ブレイシーズを留める釦をトラウザーズの内側に着けるか外側に着けるかを検索していてこちらのブログを見つけました。
プロフィールを拝見して、きっとかなりの補正技術をマスターされていらっしゃる方だなぁ、と思ったのと同時に、こんなにお若くてここまでの知識がある方がいらっしゃることに驚きと嬉しさを感じました。
スーツの仕上がりに満足できなくなったのは、自身の補正技術のレベルに縫製工場のレベルが追い付いていなかったのでしょうか。
なにしろ、私のような勉強中の立場からするとYuukiさんのような方がフィッターをしていないことは残念に思いますが、きっとお考え合ってのことだと思います。
プロフィールの後ろ姿ですが、背中からO点まで地の目がきれいに通っていて美しいですね。
これからもブログを楽しみにしています。
長々と失礼しました。
49歳で一念発起したスーツ屋さん
はじめまして^^
ブログを見てくださり、コメントもありがとうございます。
補正技術を磨いていく過程で見えてくるものが多くなり、それがプレッシャーに感じるようになりました。
フィッティングの際に不具合を見つけて、解決する方法もわかっているのに、当時の環境では実現できない・・・それに必要以上にストレスを感じてしまった(苦笑)
今となっては完璧主義がネガティブに働いていたなと思います。
キレイな見映えのスーツを仕立てる事は、フィッターとしてはこだわりたいところですが、まずはお客様のニーズに応えるほうが大事ですよね。
そのうえで今できる限りのベストを尽くす。
それで喜んでいただけたら最高ですし、そうならなかった時は素直に改善すればいい。と、今なら冷静に思います。
柄合わせがキレイなのは職人さんに感謝です。
さすが着眼点がスーツ屋さんですね!
お褒めのお言葉、丁寧なコメント、とても励みになりました。
これからもコツコツ更新していきますので、また見てくださると嬉しいです^^